『月経の不調(月経痛/月経困難症)への対応』その3
月経の正常周期は、どれくらいですか?
・月経周期には個人差がありますが、25~38日であれば正常です。
・月経周期が短縮し、24日以内のものを頻発月経といいます。
・一方、月経の頻度が異常に少なく、周期が39日以上のものを希発月経といい
ます。
・また、月経が来ない場合を無月経といいます。
・月経が3か月以上の間隔をあけて来ている場合も無月経に含みます。
頻発月経とは?
・2つに分けられます!
「無排卵周期症に伴う無排卵性頻発月経」
「排卵はするが、卵胞期(月経後排卵まで、卵が成熟する期間)の短縮
や黄体期(排卵後、次の月経開始まで)の短縮(黄体機能不全症)に
よる排卵性頻発月経」
・卵胞期が短いと卵子の成熟障害が起こり、成熟していない卵子が排出されるなど
して不妊の原因になります。
・また、黄体期が短くても不妊や流産の原因になります。無排卵周期症は希発月経
の原因ともなります。
・間脳(視床下部)―下垂体―卵巣―子宮の月経調節系のいずれの部位の障害でも
発症します。
甲状腺や副腎の病気でも発症することがあります。
また、排卵のころに起こることがある一過性の出血(排卵期出血)の量が多くて
月経のようにみえ、頻発月経のようにみえることもあります。
・病院では、まず、排卵性か、無排卵性かを診断します。
そのためには基礎体温表が大切です。
基礎体温が排卵までの低温相と排卵から月経開始までの高温相の二相性であれば、
排卵があります。
・ですから、基礎体温を測定して記録しましょう!
原因が分かったら、それに合わせて治療します。
・黄体機能不全症であれば、「排卵誘発療法」や「黄体活性化療法」などを行います。
無排卵周期症であれば、まずは「排卵誘発療法」を行いますが、すぐに妊娠を希望し
ない場合は、「ホルモン剤で人工的に周期を調節」します。
次回は、希発月経と無月経についてです。
現在、医療法人財団順和会山王病院長、国際医療福祉大学産婦人科統括教授、日本産科婦人科学会監事(前理事長)、現場医師として、女性診療、人財育成の最前線に立ち、また厚生労働省の各政策会議、日本学術会議、公的運営会議、学会等の公務に務め、赤ちゃん、お母さん、女性の健康と笑顔に資するべく、業務に取り組んでいます。尚、2020年まで東京大学医学部産婦人科教授として長年、診療、研究、教育を務めて来ました。