『月経の不調(月経痛/月経困難症)への対応』その2
「脳」と「ホルモン」と「卵巣」の関係についての理解が重要です。
脳の中でも、「間脳」の役割をご存じですか?
「間脳」は、女性ホルモン分泌にとても重要な役割を果たしています。
「間脳」は自立神経の中枢である「視床下部」と、
種々のホルモンを分泌する「下垂体」などから出来ています。
①まず、間脳の「視床下部」からGn-HRと言う
「性腺刺激ホルモン放出ホルモン」が分泌されます。
このホルモンは、「下垂体」に、『卵胞刺激ホルモン(FSH)』の合成・
分泌を促進させます。
②そして、下垂体から『卵胞刺激ホルモン(FSH)』が、分泌されます。
間脳視床下部からGn-HRホルモン分泌
↓
下垂体からFSH分泌
③『卵胞刺激ホルモン(FSH)』により、卵巣中の卵胞が発育し、その中で
卵子が成熟します。
そして、卵巣から『卵胞ホルモン(エストロゲン)』の分泌が増加し、
子宮内膜が増殖します。
④卵胞が十分に大きくなると、エストロゲンの分泌も増え、陽性フィード
バックが間脳に働いて、下垂体から『黄体形成ホルモン(LH)』が短時間
に大量に分泌されるLHサージが起こります。
その結果排卵が起こります。
FSH分泌
↓
卵巣の卵胞発育・卵子成熟
↓
卵巣からエストロゲン分泌増加
↓
子宮内膜増殖
↓
卵胞が大きくなる
↓
下垂体からLHサージ
↓
排卵が起こる
⑤排卵後の卵胞が『黄体』に変化し、『黄体ホルモン(プロゲステロン)』
が分泌され、子宮内膜は水分を含んで厚みを増し、受精卵の着床準備を整
えます。
妊娠しないと黄体が約2週間で退縮し、子宮内膜が剥がれて血液とともに
排出され、月経となります。
卵胞が黄体に変化
↓
プロゲステロン分泌
↓
着床準備
↓
妊娠しないと月経
女性の性周期(=月経周期)の調節とは?
・女性の「性周期」は、月経の始まった日から次の月経が始まる
日までの満日数のことで、「月経周期」と同じです。
・今まで説明したように、
ホルモンが、間脳の視床下部 ➡ 下垂体➡ 卵巣 ➡ 子宮と、
次々と働き、
排卵から妊娠、あるいは次の月経に至る「性周期」が調節
されています。
※今までの流れを図で整理!
(続きは次回コラムで)
現在、医療法人財団順和会山王病院長、国際医療福祉大学産婦人科統括教授、日本産科婦人科学会監事(前理事長)、現場医師として、女性診療、人財育成の最前線に立ち、また厚生労働省の各政策会議、日本学術会議、公的運営会議、学会等の公務に務め、赤ちゃん、お母さん、女性の健康と笑顔に資するべく、業務に取り組んでいます。尚、2020年まで東京大学医学部産婦人科教授として長年、診療、研究、教育を務めて来ました。